SWITCH6

2022.11.30

アウールな人

Yu Imaizumi

今泉 悠

ayame デザイナー

普段は簡単な場所で食事をするが、ご褒美にはとっておきの場所へオシャレをして出かける。そんな日常の中にある、ささやかなこだわりで、ひとはスイッチを入れる瞬間がある。ライフスタイルを上質に彩る、彼のスイッチに迫ってみた。

自身のライフスタイルで
スイッチをいれるモノ

「サーフィン」メガネを作るというクリエイティブな仕事をする傍ら、今泉さんのライフスタイル欠かせないという“サーフィン”の存在。海にいる時間は、いつもフル回転させている頭を唯一“無”にできる瞬間。自分のスイッチと過ごす、今泉さんの上質なライフスタイルを覗いてみよう。

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-メガネと仕事について教えてください。
今泉:メガネ作りを始めたきっかけは、掛けたい眼鏡が日本になかったから。海外のデザインのサングラスが好きで、高校生くらいから視力の低下に伴ってメガネを掛けるようになったのですが、メガネってどこか“真面目”とか“ガリ勉”みたいなネガティブなイメージがあったし、当時はいまではスタンダードになりつつあるアジアンフィットもなくて…。メガネ姿が素敵な友人に影響され、自分が掛けたいデザインを作れるのではないかと、日本製のアイウェアに可能性を感じてビジネスチャンスだなと思いました。20代前半で福井県・鯖江市のメガネ屋を訪ね、4~5年修行させてもらいました。独立するために軍資金を稼ぎつつ、メガネ作りのために技術やノウハウを勉強する日々を過ごしました。市場にないものを、とデザインを描いても、工場の担当者に伝わらないこともあり、職人と語りコミュニケーションを深め、細かいデザインを詰めていきました。27歳でアイウェアブランド「ayame」を立ち上げ、当時は新鮮だった色が薄いレンズを取り入れたり、コロナ渦には、マスクをしていても曇らないレンズを開発したりと、掛けるひとの願望を叶えるメガネを創出しています。
-新しいデザインを生み出すための、努力や習慣は?
今泉:とにかく毎日描くこと。何かしら描いていないと衰えてしまうのでは?と強迫観念に駆られるので、描き続けることが僕の心の安定剤です。下手になりたくはないし、今日何か生み出せるかもしれない!と、日々生み出す苦悩と闘っていますね。調子がいいときより、ネガティブで苦しいときの方が大切。諦めずにどれだけやるか、頑張るかで、追い込まれた先にしか生まれないモノを信じたい。デザインは、ペンと方眼紙を使ったアナログな作業。PCだと消したデザインも消えるから、行ったり来たりできない。アナログな線の曖昧な作業が、偶然の産物を生むんです。日常には気づいていないことが多くて、その日常からふと気づきもあります。お酒を飲んでいて、食べていたポテトチップスがレンズに見えて、そのインスピレーションで突然新たなデザインが生まれたことも。デザインはフレームやフォルムよりも、レンズの玉型から考えるのが基本としています。デザイナーとしての仕事の魅力は、想像したものを形にできることですね。
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-サーフィンをすることでどんなスイッチが入りますか?
今泉:19歳で始め、週に一度サーフィンをするライフスタイル
の一部ですが、サーフィンは最も自分らしくいられる時間。実家
近くの茨城の鹿嶋がホームで、一人で気ままにサーフィンへ行き、実家に寄ったり、そのまま仕事に行くことも。ストレスって水溶性な気がしていて、海に入ると溶けていく。カラダを資本に自然を相手に動くことで、色々とリセットされ、心身ともに満たされ、自分を見つめる時間が流れます。常に家族やスタッフに囲まれて生きているから、一人になれる時間って貴重。オンではない、オフの方にスイッチが入りますね(笑)。いつもメガネを作ることを考えて、日々決断をしているから、そこから離れて何も考えない、無になる時間が僕には必要。サーフィンへの往復のドライブも、静かに無音を楽しみます。音があるとそっちに意識がいってしまうから。サーフィンを通じて、たくさんの仲間に出会うことができました。
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-アウールの服を着た感想は?
今泉:ごめんなさい!想像以上に着心地がよくて、いい意味驚きました(笑)。服に着られている感がなく、自然に身体にフィットして、ストレスなくリラックスして着こなせる。楽なのに品があって、よく見える。着ないとわからないですね。普段はコーディネートを考えたくないので、毎日同じ格好が理想ですが、もう「アウールで良くない?」「他のものいらなくない?」というくらいの気持ちになりました。アウールの服にどんなアイウェアを合わせるかは、特に制限なく、服のバランスや雰囲気を感じながら考える。アイウェアって顔だけで選ぶと、おかしなことになるんですよ。だからショップには全身ミラーを置いて、全体のシルエットやバランスを、俯瞰で見ていただくことをおすすめしています。
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-日常を上質に過ごすヒントは?
今泉:気持ちいい服を、身に纏うように心がけています。上質な服にメガネでバランスをコントロールする。お客様に「似合わない」と言われるのは大好物!似合うメガネは必ずあるので、見えていない、気づいていないだけ。ニヤニヤしながら、絶対に似合うメガネを見つけたくなるんです。品を与えるのも遊びを足すのも、メガネひとつで自分をコントロールできる。出会いは第一印象が大事で、まず目を見るから、メガネも大事なツール。下着や髪形にお金はかけているのに、メガネは気にしていないとかだと、勿体ないというか残念だなと感じてしまいます。細部まで気にすることが、日常に品や上質さを添えることに繋がるのでは、と思います。
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PROFILE

今泉 悠(いまいずみ ゆう)
1983年、茨城県生まれ。福井県・鯖江市でメガネを学び、2010年ayameを設立。ブランド名の由来は、出身地を象徴する“あやめ”の花と“目を彩る”という意味を重ねたもの。自社ブランドのみならず、国内外のアイウェアデザインやディレクションを手掛ける。2016年「SWANS」と協業したスポーツサングラスが、『アイウェア オブ ザ イヤー』を受賞。“温故知新”をブランドコンセプトに掲げ、長く愛される上質なアイウェアの創造を目指す。

HP:www.ayame-id.jp

Photo:Akira Maeda(MAETTICO)
Text:Mayuko Hamaguchi(SEASTARS Inc)
Location:THE DECK COFFEE & PIE