SWITCH.5

2022.08.23

アウールな人

Hiroshi Kumamoto 熊本浩志
amadana 代表取締役社長 & CEO
東京ヴェルディ 
クリエイティブセンター長

普段は簡単な場所で食事をするが、ご褒美にはとっておきの場所へオシャレをして出かける。そんな日常の中にある、ささやかなこだわりで、ひとはスイッチを入れる瞬間がある。ライフスタイルを上質に彩る、彼のスイッチに迫ってみた。

自身のライフスタイルで
スイッチをいれるモノ

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自身のライフスタイルでスイッチをいれるモノ

「野球」熊本さんが、学生時代から好きで続けている“野球”。社会人軟式野球チーム「東京ヴェルディ・バンバータ」の監督に就任し、“クマカン”として4度の全国優勝へと導いた。人生にとって欠かせない“野球”という自分のスイッチと過ごす、熊本さんの上質なライフスタイルを覗いてみよう。

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-仕事と野球はどんな存在ですか?
熊本:学生時代は“野球”が仕事で、仕事は遊び感覚で楽しく取り組み、遊びこそ本気でやるというマインドが、自分の軸になっています。自分の好きなこと、楽しいことを遊んでいたら形になり、気づいたら仕事になってしまう、の繰り返しです。常に面白いことを考えていて、オンオフも明確にわけていないので、脳内は仕事、野球、様々なことが常に頭の中でミックスされている状態。野球はキャッチャーから始まり、本気で楽しんでいたら、2008年、友人たちと設立した社会人軟式野球チーム「東京バンバータ」(現「東京ヴェルディ バンバータ」の前身)の監督になっていた。総合型スポーツクラブ「東京ヴェルディ」と業務提供し、スポーツ事業全般のクリエイティブセンター長を兼務しているので、15競技18チームのブランディング戦略をはじめ、アパレルやグッズ、ユニフォームのデザイン業務から、試合のスタジアム演出、SNSメディアの作成や更新など、デジタルからフィジカルまで統括し、年間約800デザインをこなしている。ここ何年も休んでいないし、基本的に仕事と遊びのボーダーラインがない。飽きたら終わりかなと思っています。
-野球をすることでどんなスイッチが入りますか?
熊本:勝負師としてのスイッチがオンになります。プレイボールの声で、独特な緊張感が走り本能的にスイッチが入ります。選手のときには感じなかった感覚ですね。歳を重ねると、本気で勝負することや、感情の沸き上がりで泣いたり喚いたり叫んだりすることって減るから、野球に真剣に向き合う事で、自分のバランスが取れる。野球ではすべての感情を出し、全力を出すことができるから。野球があることで、仕事や会社でも冷静な社長でいられる気がします。試合に勝ち優勝すると、アドレナリンが出て、これ以上にないほどの幸福感で満たされ、日々の一番の喜びに。その最高の瞬間のために、全力で頑張っています。
-監督としての苦悩や、勝つためのヒントを教えてください。
熊本:監督としての“クマカン”というキャラが、人格のひとつ。監督という仕事はとても重いプレッシャーとの闘いで、試合前は眠れないこともあるし、胃痛になることも。顔には出さずポーカーフェイスでいても、監督の使命は結果がすべて。負けるとすごく落ち込むし、責任を感じ、頭の中がいっぱいになります。野球はトーナメントだから、負けないための組織作りを構築するのが重要で、決して簡単ではない。
監督として選手20人の特性を知り、それぞれに合ったやり方を見つけ出し、伸ばさなければ、絶対に勝てないから。密にコミュニケーションを取り、すぐに修正して整え、今に必要なことに向き合い見極めることで、結果に繋がる。頭を使って、勝つ野球を常に意識しています。
-アウールの服を着た感想は?
熊本:リラックスしたカジュアルな素材でも、きちんと見える。今の時代にフィットしていて、日常で着る頻度が高くなる服だなと感じました。40歳を過ぎるとカジュアルすぎるとだらしなく見えてしまうし、立場上、ルーズに見えるのがよくないことも。ショーツの長さはとくに気を使います。膝下だとオヤジっぽいし、短いと何だか恥ずかしい。歳を重ね、トレンドよりオーセンティックなものがしっくりくるので、その絶妙なバランスがアウールの服にはありますね。ゴルフ後に会議や会食へ向かうことや、野球以外の競技や試合を観に行くときもビジネスなので、ジャケットが必要なときもある。オリジナルブランドをデザインして作っているので、服に興味はあるほうですが、趣味も多く、野球、ゴルフ、アウトドアなど、すべて服を分けるとクローゼットが大変なことに!ライフスタイルに落とし込めるクロスオーバーな服が、自分にとって一番の理想。1日に何シーンもこなさなければいけないライフスタイルの中で、動きやすくて大人のキレイが完成する服は、とても役立ちそうです。
-日常を上質に過ごすヒントは?
熊本:頭で考えるより、感じるままに動いているのが僕の人生。いつだってその状況や場面をすごく楽しんでいます。将来の目標を思い描くと、思った通りにはもちろんならないし、でもそれが楽しかったりもする。本業から派生し、コーヒー事業をしたり、スポーツの会社が立ち上がったり、人を巻き込んでいき気づいたらやることになる流れになり、ワクワクが増えていく感じです。好きだった野球やスポーツが、いまではちゃんと仕事になっているし、監督も優勝したら辞めると宣言するも、結果を出せて優勝したら辞められなくなり、いまに続いている。仕事も遊びもボーダーラインなく、全力で本気で楽しむことが、日常をよき方向に転ばせていると感じています。
PROFILE
熊本浩志(くまもと ひろし)
1975年、宮崎県生まれ。電気店の長男として生まれ、大手電機メーカー勤務を経て、デザイン家電などを手がけるクリエイティブ総合商社「amadana」グループを創業。社会人軟式野球クラブ「東京ヴェルディ・バンバータ」の監督を務め、野球界では“クマカン”の愛称で親しまれる。前身である「東京バンバータ」では、発足から3年で優勝できなければ解散を公言し、3年後の2011年、高松宮賜杯第55回全日本軟式野球大会2部で初優勝を果たし、過去4度日本一へと導いた。2018年、同チームは総合型スポーツクラブ「東京ヴェルディ」と業務提携し、自身はグループ全体のブランドマネジメントを統括するクリエイティブセンター長も兼任。スポーツクラブの運営からクリエイティブ・事業戦略など、多岐に渡り展開する。

amadana株式会社 https://www.amadana.com/

東京ヴェルディクラブ https://www.verdy.club/

Photo:Akira Maeda MAETICCO
Text:Mayuko Hamaguchi SEASTARS Inc
Location: 明治神宮外苑 室内球技場