SWITCH.2

2022.03.30

アウールな人

Jun Hashimoto 橋本 淳
junhashimotoデザイナー

普段は簡単な場所で食事をするが、ご褒美にはとっておきの場所へオシャレをして出かける。そんな日常の中にある、ささやかなこだわりで、ひとはスイッチを入れる瞬間がある。ライフスタイルを上質に彩る、彼のスイッチに迫ってみた。

自身のライフスタイルで
スイッチをいれるモノ

A Moment with JOURNAL アウールな人 Jun Hashimoto 橋本 淳

ブラジリアン柔術 橋本さんにとって、週5日も通ってしまうほどライフスタイルに寄り添っているという“ブラジリアン柔術”。試合を目標に掲げ、日々の仕事の合間に触れる格闘技によって、自分のスイッチが入るという。橋本さんの上質なライフスタイルを覗いてみよう。

- ブラジリアン柔術にはどんな魅力がありますか?

橋本:ジムのメンバーであるスタイリストさんから勧められて、興味本位で始めました。キックなどはないから、中年オヤジからでも始められる格闘技で、有酸素運動×体幹トレーニングをずっとやっているような動きなので、肉体的にはいい筋肉がついて痩せます。毎回スパーリングでは色々な年齢や体格の人たちと真剣勝負する事で、練習後には毎回頭が真っ白になり、サウナーの言うところの“ととのう”状態に。日々がリセットできるのが魅力です。20年前にイタリアの「CARPE DIEM」というブランドで働いていた経験もあり、いま通っているジムと同名なことも縁を感じます。

- ブラジリアン柔術をすることでどんなスイッチが入りますか?

橋本:格闘技という非日常的な空間(行為)に入ることで、“昨日までの自分に勝つ”ためのスイッチが入ります。5段階レベルがあり、異なる色の帯で強さが一目瞭然。練習した分スキルが上がると先生に認められ、この帯の色がレベルアップしていく仕組み。レベルは上がるのみで、成長したことがわかりやすい。この“人に認められる”ということが、とても嬉しくて、自分も人を認めてあげたいと思うようになったし、できることを褒めてあげられる人間になりたいと考えるように。仕事でも人間関係でも生きてくるし、大きな気づきがあった、とても素敵なスポーツだなと惹かれました。結果、週5日も通ってしまっています(笑)。

- 柔術と出合い、どうのように変わりましたか?

橋本:学生時代にサッカーやバスケしかしていなくて、むしろ柔術は汗が気持ち悪い!なんて思っていたのに、こんなにハマってしまった自分に驚いています。練習でも対人で5分試合をするのですが、毎回真剣なので、汗とかそんな小さなことは気にならなくなりました。むしろ目の前の動きや技に集中し、終わるとそれが快感に変わっていく。来週、大会試合に出るのですが、エントリーは3回目。日々のモチベーションアップにも繋がるし、より明確に練習の目標ができて、刺激になる。意外にも緊張してナーバスになる自分がいて、その変化も楽しんでいます。体を動かし、いい汗を流してからする仕事は、爽快で気持ちがよいし集中できる、いい影響を及ぼしてくれます。

- AOUREの服作りへのこだわりやエピソードを教えてください

橋本:ブランド構想を聞いて、非常に共感できるコンセプトだったのでデザイナーとして参加させて頂きました。ベーシックなアイテムだけど、“実はこうなっている”的なディティールを効かせて、生活シーンに合わせたデザインに落とし込むことで、一見普通に見えるアイテムでも、ワンランク上に見せることができる。“お気楽に着られるけれど、決まる服”を掲げ、普通になりすぎても意味がないし、やりすぎなデザインに走りすぎもしない、そんな絶妙なバランスを心掛けています。
よい素材を然るべき形にすることを大事にした、服作りを考えます。こんなに高級素材を使うの!と新しい発見や刺激もあり、クリエーションは楽しいですね。僕や戸賀さん含め、チームにオジサンが多いので(笑)、コンサバに寄らないモード感と今っぽさも大事。20~30代の若い層にも認められる今の時代からズレない服を意識しています。若いデザイナーのアイディアを如何にオジサンが着られるかを常にチームで話し、トラッドベースと、トレンド感がほどよくありつつ若ぶって見えないようにする、せめぎ合い……。
“クオリティを知っている大人が満足できる服”に仕上がっているので、今まで買っていた服より安いけれど「これならいいね」と思っていただけるはずです。自分のスタイルを持ち、仕事・趣味どんなシーンでも対応できる、商品構成になっています。

- 日常を上質に着こなす方法やヒントとは?

橋本:TPOに合わせつつ、少し遊びのあるスタイリング(色遊び)をすれば、世界は変わると思います。一言で言うと“コスプレ”的な着こなしを、思い切り楽しむ提案をしたいです。記念日には「アウール」のジャケットを着て非日常のきちんと感を演出したり、例えばハイキングにはカジュアルだけどラインがキレイなストレッチパンツを、などTPOをより強くして“この場所に行くからこれを着よう”と、行動に寄り添う各シーンに合う服で、より日常が楽しくなり、気持ちもあがる。そういう服をイメージして「アウール」を作っているので、より日常が上質になる着方を見つけて欲しいなと願っています。

PROFILE 橋本 淳(はしもと じゅん)
1974年、徳島県生まれ。AOUREデザイン監修
イタリアで培った美意識を、日本人の「粋」の精神に基づく細やかな仕事により服を表現する。03年、日本のメンズファッションにタイトシルエットを持ち込む。「wjk」創設後、ミリタリーウェアをラグジュアリーファッションへと昇華させ、メンズファッションで一世を風靡。同ブランド離脱後に、40代を迎えるデザイナー自身を納得させる大人のリアルクローズブランド「junhashimoto」を展開。プラス3cm、マイナス3㎏に見せる計算しつくされたシルエット“デザイン性と機能性の融合”により快適さとスマートさを共存させる。近年では、野村不動産初のホテル事業において運営される「NOHGA HOTEL」のユニフォームを制作。19年、航空会社「Star Flyer」と協業し開発された商品「+FLOW」を発表し、話題となった。

Photo:Akira Maeda(MAETICCO)
Text:Mayuko Hamaguchi(SEASTARS Inc)
Location:カルペディエム本部 青山道場

PROFILE 橋本 淳(はしもと じゅん)
1974年、徳島県生まれ。AOUREデザイン監修
イタリアで培った美意識を、日本人の「粋」の精神に基づく細やかな仕事により服を表現する。03年、日本のメンズファッションにタイトシルエットを持ち込む。「wjk」創設後、ミリタリーウェアをラグジュアリーファッションへと昇華させ、メンズファッションで一世を風靡。同ブランド離脱後に、40代を迎えるデザイナー自身を納得させる大人のリアルクローズブランド「junhashimoto」を展開。プラス3cm、マイナス3㎏に見せる計算しつくされたシルエット“デザイン性と機能性の融合”により快適さとスマートさを共存させる。近年では、野村不動産初のホテル事業において運営される「NOHGA HOTEL」のユニフォームを制作。19年、航空会社「Star Flyer」と協業し開発された商品「+FLOW」を発表し、話題となった。

Photo:Akira Maeda(MAETICCO)
Text:Mayuko Hamaguchi(SEASTARS Inc)
Location:カルペディエム本部 青山道場