ベージュの椅子に置かれたグレーのチェック柄のジャケット

IL GIACCA

威厳や品格を纏ったクラシカルな風貌ながら
気軽に袖を通せる素材感。
日常を取り戻した今こそ現代にフィットするジャケットを提案。
その真意を汲んだコレクションとは。

戸賀敬城
多くのメディアで編集長を
歴任後、アウールのクリエイティブディレクターに就任。
数々のヒットシリーズを世に送り届けてきた張本人が、
先ごろデビューを飾った、ブランドならではの魅力を担保しつつ、
貫禄も備えたジャケットシリーズ、
IL GIACCA/イル ジャッカを語ります。

TOGA STYLE.1

今の時代からすると古い名残と映るかもしれません。とはいえ、格式ある場へ赴く際にジャケットが必須なのはいまだ世の理。まさに男の服といって差し支えないでしょう。百戦錬磨の戸賀氏もそこは大いに認めるところ。ゆえのIL GIACCAです。伸縮性や軽さといった特徴にブランドのアイデンティティを感じさせますが、こちらで採用したのは極細ウール糸をミックスしヘリンボーンの織り柄を落とし込んだ日本製生地。その貫禄は、カラーニットを受け止める度量の広さも示します。

TOGA STYLE.2

IL GIACCAの出発点は“ラクに着られる大人なジャケット”。格式を損なわず今の空気も蔑ろにしない、そこに戸賀氏のこだわりが込められているのです。こちらで取り入れた、イタリア屈指の生地屋が作るオリジナル生地がそれを見事に表現しました。ウールを緩く編んだジャカード生地の裏面にラミネート加工を施したそれは、ニットらしい優しさを宿しつつ布帛のような端正さ、そして強靭さも覗かせます。さらに程よくユルめのシルエットにより、デニムとも足並みを揃えられる懐の深さまで感じられるかと。

TOGA STYLE.3

カジュアルアップのアプローチが昨今の着こなし。それを一着で完結させるだけのポテンシャルをIL GIACCAは秘めています。こちらではイタリアの老舗生地屋の逸品を選択。太さの異なる糸で編み立てたオーバープリントを施したその姿は立体感に溢れ、シャープな型ではありますがジャージー生地ならではの伸縮性を備えます。戸賀氏も昨今よく手にするグレンチェックのクラシカルな趣からは想像しえない自由を感じられるでしょう。

TOGA STYLE.4

無地のしっかりとした見た目ゆえ一般的なビジネスジャケットに見えがちです。ただ、よく見ていただくとわかりますがリンクス柄という凹凸のある編み地で仕上げています。コットンカシミヤの糸とストレッチ糸で仕上げたその生地は伸び縮みするため心地よく、各糸の浸透度の違いで生まれる色の濃度の差も手伝って見た目に奥行きが生まれます。そのため着心地はカーディガンのようにリラックス感たっぷりですが、シャツはもちろんニットやカットソーでも洗練さをもたらします。