ゴージラインにノッチがあしらわれたラペルが特徴のジャケットは、今なお自ずと身が引き締まるだけでなく、相手からの信頼も得られる力があります。ただ、それは時にシーンやコーディネートのレンジを限定し、少々息苦しさを感じさせる要因にも。そこへAOUREは、フェザークロスでもって一石を投じます。カギを握るのは生地。使用したのは、日本の北陸の地より新しい価値の創出を発信、開発する生地ブランド 、KAJIFのファブリックです。袖を通した瞬間から感じられる軽さは口元をユルませ、薄手に仕上げられていることもあり抜群の機動力やフィット感も期待できます。
いい大人にとっては願ったり叶ったりなこちらの生地。その魅力を生み出しているのが、ハイマルチ仮撚り糸という工程をふんで生み出された糸です。そこへポリウレタン弾性糸を組み合わせることで、あらゆる動きに対応する高ストレッチ性や、強度を担保した薄さ、そして羽根のような軽さを生み出しているのです。“軽い”、“薄い”と、なにやら口先ばかりの軽薄な男性のように聞こえてしまいますが、こちらは程よいハリ感やコシの強さも持ち合わせていますから、見た目テーラードジャケットならではの端正さ。むしろ、羽織った時に感じるギャップに感動を覚えるはずです。
原糸の特徴から速乾性に優れているためベタつかず、シワにもなりにくくコンパクトにまとめて持ち運びもイージーと、これからの季節にうってつけの一着。そう、たしかにこのジャケットを語るうえで素材がもたらす効能への言及は欠かせません。ただこちら、ジャケットを構成する最低限のポイントを押さえてはいるもののシンプルさを極力意識。一枚で仕立て、袖口のボタンといった装飾をできるだけ省きミニマルな佇まいを演出しています。それが軽やさや着こなしの幅を担保するキモ。これ一着でオフィスから避暑地まで、あらゆるフィールドを飛ぶように駆け抜けることが可能です。