AOUREならではの細部への配慮は、もちろん同シリーズにも遺憾なく発揮されています。もはやお馴染みとなったオニキスのブートニエールはファーストクラス仕様に台座をブラックカラーに変更、手の込んだ刻印ボタンや凛々しいメタルフレームボタンもラグジュアリー。全体にクラス感が漂わせる一因になります。
スーツの“顔”ともいえるラペルへ目を移せば、下襟は段返りのジャケットのごとき優雅な折り返しが目を惹きます。縁にそって入れられたシームはナポリスーツを思わせるダブルステッチ。この事によりステッチのあたりでプリントに変化が生まれ、普遍的なジャケットに豊かな表情をもたらします。
一般的なウールスーツと遜色ない出立ちですが、袖を通して驚くのは抜群の動きやすさです。理由は、自由自在に伸縮するストレッチ生地。あらゆる動きに対してしっかり寄り添うため、ストレスを感じさせません。しかも、吸湿性や透湿性も高く、暖房の効いた屋内にいても常に快適でいられます。
脱いでただ置いているだけでもポイントとなるカラーアクセントのディテール。ただ、同作の真骨頂はその内部にあります。生地内にダウンが落とし込まれ、さらにそのダウン層を含めた11の層で構成されているのです。それほどの防寒対策を講じながら、見た目は一般的なラペルジャケットと遜色なし。そこにAOUREの底力が垣間見えます。